+・:*。浅葱色の想い。*:・+

小説「浅葱色の想い」は普通の中学生、kano,が大好きな幕末日本、新選組の小説を書くブログです。

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女郎花[2]

「儂は佐々木愛次郎を殺しておらんぞ?」

「分かっていますよ。」

「土方君、君は殺しておらんの?」

「ええ。」

「儂の根付を持っておらんの?」

「持っていませんよ。今から残りの三人を連れて来ます。芹沢局長はここでお待ち下さい・・・。」土方はそう言うと部屋を出た。気付けば空は茜色、もうすぐ夜がやって来る。

「源さん!」

「おぉトシさん、急いでどうしたんかい?」

「何してんだ!?」

「いやぁ・・庭の掃除をしていてねぇ。」

「芹沢に変な言い掛かりをつけられたらどうするんだよ?」小声で土方は言った。

「今日は何かあったのかねぇ?」百姓臭さが抜けない井上。

「とりあえず、こっちに来てくれ!」

「はいはい。」

芹沢は根付の事で井上を疑った。根付は高価な物。着物は継ぎ接ぎだらけで、如何にも金に困っていそうな井上。芹沢の勢いに押されて井上は黙った。しかし、井上は人の物を盗む様な事は出来ない、土方はよく知っている。土方が井上を弁護し、井上の疑いは晴れた。

「芹沢局長、平山は?」

「君が井上さんを呼びに言ってる間に来てのぅ・・儂の根付も持っていなければ殺してもいないと。」

「そうですか・・すると残りは佐伯と云う事になりますが?」

「佐伯かぁ・・・。」芹沢は佐伯を可愛がっていた。なので深く疑わない。

「佐伯は何処に居るんですか?」

「わからんのぅ・・・。」

「手分けして探しましょう。」土方は勢い良く立ち上がる。嫌な予感がしてならなかった。

「もう夜じゃ、そう焦らなくても良いではないか。」

「いや・・駄目です。すぐ探さなければ・・・。」

「すぐ・・探さなければ・・・?」芹沢は土方の嫌な予感を感じ取ったらしい。

芹沢が気付いた時に土方は姿を消しており、屯所のいたる所を覗き歩いていた。佐々木の件で下手人探しに協力する島田も一緒だ。

「ひっ土方副長!」低い島田の声が響く。

「何かみつけたのか?」土方は早足で島田の入った部屋へ足を進める。透かさず、土方の後ろを芹沢は行った。

「佐伯の荷物が総て消えています・・・。」恐る恐る島田が言う。

「くそっ・・遅かったかぁっ・・・!」

ドンという音がした。土方が柱を叩いて悔しがったのだ。


清河香乃の懺悔と酬いはこちらから♪

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女郎花[1]

「土方君!土方君!」

「何ですか、芹沢局長?」土方は動かしていた手を止めて振り返る。

「儂のうにこうるの根付が・・・。」

「そうですか。」

芹沢は何か大切な用事が有るとき、必ずと言っても良い程土方に話す。局長の近藤より土方の方が器用なことを芹沢は知っている。そして土方は芹沢が自分を信用していることに気付いている。

「なくなっていたんですね?」

「何故わかる?」

「何となくですよ。で、どうします?」

「どうしようかの・・・。」

「いいですよ、私がどうにかしますので。佐々木愛次郎の一件も有ったことだ、それと一緒に隊士を集めて調べてみますよ。」

「そうか・・いつも悪いのぅ・・・。」とぼとぼと部屋を出て行った芹沢。実はそんなに恐ろしい人物ではない。

「梅、お梅よ。」

「ん・・?」体を揺らされ、梅は目覚める。

「儂が・・・好きなのか・・?」

「何やの・・・芹沢はん、いきなり。」

「・・あぁ。ごめんな、起こして。」

―――――八月八日、壬生浪士組の屯所では詮議が行われた。その内容はもちろん、佐々木愛次郎の一件と芹沢の根付の事である。

「次、総司入れっ。」

「あっはいはい。」

詮議は芹沢と土方の二人で行われ、隊士を一人づつ部屋に入れて話を聞く、と云う方法で進めた。効率はあまり良くはなかったが、この方法が一番確実だと二人は判断した。

「私が芹沢局長の根付を盗むと思いますか?ねぇ芹沢局長。」

「まぁ・・沖田君が盗むわけはないのぅ。」

「ね?そうでしょ、芹沢局長!」ニコニコしながら沖田は言った。

「おい総司。お前が根付を盗んでないことは分かった様なモンだ。でもなぁ・・だからってお前を詮議の対象から外す事はできねぇんだよっ!」怒り気味で土方は吐く。

「はいはい分かってますよぉ。」欝陶しそうに沖田は言う。

「それに、私は女子なんて興味無いですからねぇ?ましてや佐々木さんを殺してまであんなことしませんよ。」

「ああ!もう分かった、総司は終わりな。」

土方は隊士の名前が書いてある白い用紙の中から『沖田総司』の名を探し、線で消す。

「はぁ・・考えてみれば誰も『私が殺しました』『私が盗みました』なんて白状しねぇよなぁ・・・。」

「土方君・・それは独り言かね・・・?」

「・・そうですよ・・・。」

「あと残っているのは?」

「平山、井上、佐伯・・そして我々のみですね・・・。」


清河香乃の謝罪と哀の言葉は此方です。

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空蝉[5]

その後、愛次郎とあぐりの遺体はあぐりの家で引き取って弔ったとか。あぐりの両親は娘を失った悲しみと、その恋人を失った事とで心を痛めていた。

―――佐々木との思い出の縁側で、夏は刀を抜いて眺めて居る。佐々木が死んでからあっと言う間に四日経った。原田が慰めてくれて夏の心は漸く落ち着いた。原田はあの時、確かに泣いていた。夏と二人で話していた時、彼は言っていた。悲しい、でも何か悔しいと。夏も同じ気持ちだ。下手人はまだ見つからない。早く佐々木のためにも見つけ出したいと。そんな彼の話を聞いて、彼がとても優しい男なのだと分かった。

「危ないぞ。俺を刺す気かお前。」斎藤だ。

無意識に切先が斎藤に向いていた。

「あっ、申しわけ御座いません斎藤先生!」

「誰の刀だ?」

「私・・のです?」

「なんで俺に聞くんだ。」

「わ・・たしのって言っても良いか分からなかったからです。この刀は佐々木さんの物だったので。」

「そうか、佐々木のか。」

会話はそれで終わった。夏の横に斎藤は座っているが、二人とも話を思いつかない。

こんなに喋った斎藤は多分稀だと思う。斎藤は無口だ。そして無表情だ。さっき喋った時も、前を見たまま淡々と喋っていた。

「・・・・・いいな。」ボソっと斎藤が言った。

「・・え?あぁ・・・何ですか?」

「その刀だ。」

「土方副長も言っていました。」

「ちょっと見せてくれ。」

「いいですよ。」黒の鞘に収めた刀を斎藤は受け取る。

「人斬りには最適だな。良かったな。」良かったな、と言われても困る。

ニ尺三寸五分。―――黒鞘に大ぶりの鉄製の丸鍔。柄には紫紺色の糸が菱巻にされている。反りは浅い。小刀も似た様な作りである。刀身には樋が入れてあった。

「どうも。大切に使いな。」刀を優しく渡して斎藤は言った。

「はい。」夏が返事をしたのを確かめ、斎藤は立ち去った。

―――今日も暑い。肌を焼く様だ。

「梅、お梅。」

「何どす?」梅は毎日のように屯所にやって来る。

「あれはどこだ・・あれは?」頻りに芹沢は聞く。

「さっきからあれあれって何のことどす?」

「うにこうるの根付じゃ・・。」

「煙草入れに付けとったあれどすなぁ・・・?」

「そうだ・・。」

芹沢が言う『うにこうるの根付』とは北極海に住む、『一角鯨』の角状の歯を加工した物だ。これで体をなでれば万病が治る、と言われており、一寸程度大きさで十両も二十両もするのだ。芹沢の根付は獅子の形をしている。

「高価な物じゃ・・誰か盗みおったな!」芹沢は部屋を出て、何処かへ歩きだした。

「神崎はん!神崎はん!」

「どうしたの?」壬生寺で考え事をしている夏を呼んだのは村の子供。

「あのなぁ・・あのなぁ、見てこれ。」

「蝉の・・抜け殻?捕ったの?」

「うんう。こないだなぁ、芹沢せんせが捕ってくれたんや!」

「良かったねぇ。」芹沢は子供好きだ。

―――抜け殻・・空蝉。今、一番考えたくない言葉だった。


清河香乃の叫びと嘆きはここからです。

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空蝉[4]

夕陽が耀かしい頃、土方は八木家の離れに居た。

芹沢達は八木家で寝泊りしている。そこで酒を飲み交わし騒ぐ、時には島原から遊女を連れて来る事も有った。そんな芹沢達に困り果てた八木家の人々は、屋敷を明け渡す事も有った。

―――――尋常ならぬ女の喘ぎ声が聞こえてくる。しかし、それももう慣れたことだ。

―――ガラリ。土方は離れの一室の襖を開けた。

「土方君か。」中に居たのは芹沢。驚いてもいなければ怒りもしない。その顔はむしろ笑っている。

「土方君、お主も混ざるかね?」本気らしい。どうせまた飲んだのだろう。

「ご冗談はお止め下さい。」

芹沢と同衾して居たのは梅と云う女。梅は「菱屋」と云う太物問屋の妾。菱屋の妾梅は主人の太兵衛から、壬生浪士組から隊服の代金を支払って貰えるよう言いつけられていた。

菱屋と前川家には縁が有り、その前川家の仲介で隊服を注文したのだ。しかし、一向に払わない。堪りかねた太兵衛は自分の妾の梅を送って寄越したのだ。ところがこのお梅は美しかった。色が白くて、つんとした顔付きが芹沢の何かを鷲摑みにしたのだろう。芹沢は梅を手籠めにしてしまった。

「何やね、用が有らんのなら出て行っとくれやっしゃ。」梅は土方を睨む。梅は土方が襖を開けても恥らわなかった。この梅の攻撃的な口調で土方は悟った。梅はただ芹沢との一時を邪魔されたくなかったのだと。

「お梅、少し待て。」芹沢は脱ぎ捨てて有った着物を肩に掛けたままの格好で出て来た。

「どうしたのかね?」

「佐々木愛次郎が何者かに殺されていたのです。」

「あの可愛らしい女子を連れた奴か。」

「はい、その女子も舌を噛み切って死んだようです・・・。」

「本当か!」芹沢は細い目をカッと開き驚いた。その瞬間、違うなと思った。しかし一応間違いの無い様聞く。

「その女子を妾にしたいと申した事は有りますか?」

「あぁ、一度そんな事を言ったのぅ・・本気では無かったがあまりにも可愛らしい娘で。それこそ冗談じゃ。」芹沢は悲しそうにブツブツ言う。

「誰か儂を疑っていたか。」

「まぁ。在る隊士から妾の話を聞いたのでねぇ・・・。」土方はこの人に嘘は言いたくないと思う。

「儂にはそんな酷い事は出来ぬ・・あの若い二人にはとても。」芹沢は人に嘘が吐けないのだろう。

「犯行は男です。犯されていたからなぁ・・・娘の横に平打落ちていて、それには血が付いていたのです。下手人の体の何処かに傷が有るかも知れぬと話していました・・協力してくれますか?」

「もちろんだ。」

ガラッ―――。襖が開き出て来た梅。身に何も纏っていない。流石の土方も目の遣り場に困ってしまった。

「さ、芹沢はん。話は終わりましたやろ。はよ中入って続きしとくりゃす、」梅は芹沢の手をぐいぐい引っ張る。

「では芹沢局長、失礼。」

「ご苦労であった、土方君。」

女は不思議だと土方は思った。自分も今まで数え切れぬ程、女と関係してきたから確かだ。あの梅だって今でこそ芹沢にべったりだが、初めは否々屯所に来て居たのだ。しかし今となっては主人の目を盗んで自ら訪れる。夏だってそうだ。あれだけ言っても屯所から離れない。女子の身で男として。土方は思う、女は不思議だと。


清河香乃の禁断の門は此処から潜りましょう!

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空蝉[3]

「土方副長、竹藪の中で女が一人死んでいますっ。」島田が言う。

「今行く。」土方は驚く事無く、島田の居る竹藪の中へと入った。

「・・野郎に強姦されたか・・輪姦・・・されたかだろうな・・・。」ふうと息を吐く土方。

「この娘・・あぐりちゃんじゃねぇかっ!」原田が言った。

「左之、知ってんのか?」

「ああ。佐々木と好い仲だった娘だよ。」

「・・何か有りそうだな。」

「物取りでもなさそうです・・・。」島田が汗を流しながら言った。

「舌を噛み切って死んだのか・・ん?」永倉があぐりの亡骸の横にしゃがむ。

「副長・・平打が落ちていました。」永倉は土方に平打を手渡す。

「多分娘の物さ、平打に血が附いている・・・もしかして、これで刺したのか?・・・ほら見てみろよ。結構血が・・この娘を犯した男には・・傷が残っているかも知れねぇなぁ・・・。」

「夏・・お前佐々木と仲が良かったろ?何か知らねぇのか・・・?」

「はっ・・はい。」懐紙で鼻をかみながら夏は言った。

「屯所に戻ったら話して・・くれるか?」

「・・・いいですよ。」

「俺と島田さんはここに残る。左之と新八、神崎は戻ってろ・・・。」髪を触りながら土方は言った。

その後、土方は一刻経ってから帰って来た。

「おい神崎。」縁側で落ち込む夏を土方は呼んだ。

「はっはい!」我に返った夏は土方を見る。が、土方の顔がぼんやりと見えなくなる。

「・・かっ神崎っ・・!?」夏は泣いていた。

「ふくちょ・・ごめんなさいっ・・・。」

思えば初めて次郎さんと喋ったのもこの縁側での事だ。次郎さんはもう屯所には帰って来ない・・楽しかったあの時のことも、もう過去のこと。そう、思い出になってしまったの。次郎さんの事・・もっと知りたかったな。次郎さんとの思い出はもう、決して増えることは無い―――。

縁側に座って泣く、夏の横に土方は茫然と立って居る。通りかかった隊士は不思議そうに二人を見て行った。

「・・・・俺が泣かしたみてぇじゃねぇかよぉ・・・。」

「ううっ・・ごめんなさぁい。」

「佐々木の下手人は分かるか?」

「・・それは分かりませんけど・・。芹沢局長があぐりさんを妾にしたいって・・・。」

「本当か!?」

「・・はい。でも芹沢局長とは・・限りませんよ・・・ね?」

「あぁ。調べてみるさ。」

「お願い致します。」

「あっ!そうだそうだ・・・。」土方は夏の前に物を差し出した。

「佐々木の大小だ。神崎、お前刀持っていなかったろ?丁度良かったじゃないか。奴も小兵だったから大きさもお前に合っているな。無銘だが中々な物と見た、奴の形見として持ってやってくれねぇか?」

「は・・い・・・。」ズシリと重さが伝わる。

佐々木の形見として刀が丁度手に入ると云うのは悲しき事。佐々木はもう生きて居ないのだ。佐々木がいつも一緒に居る様な気がする、喜んで受け取ったのだった。

刀とは色々な意味で重いと夏は思っている。一つは女子には軽々と身に付けられない、と云う重さ。もう一つはそれを身に付けるのは男だけ。女子の夏は女子である事を捨てなければならない。佐々木の大小を受け取った夏は決意した。―――女々しい心を捨て、男に成る事を。


色ボケ清河香乃ちゃんの訴えは此方からドウゾ。

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清河香乃(kano,)

Author:清河香乃(kano,)



浅葱色の想いを執筆するのは
ワタクシ清河香乃でございます。
一応十四、数えで十五です。
歳に似合わず幕末日本大好きです。
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